幕末において、国を開放すべきだと思った庶民も学者もほとんどいない。みんな反対した。外国の状況を知って、このままではいけないという改革・解放派は次々に殺された。実際、幕末に少し貿易を解放して国内の生産品が海外に出るようになって、生糸や米やいろんな物価が上がり、庶民が苦しいインフレになった。
国内と海外での金と銀の交換レートの違いにより、日本国内の金が海外にどんどん流出した。海外との取引を自由化することで、国民にとって良いことは何もなかった。馬関戦争、薩英戦争などを通じて初めて、国を解放して海外の技術や産業を取り入れないと植民地にされてしまうという考えが拡がった。
だから自給自足で満足していた鎖国政策は正しかった。国を開いても国民にとって良いことは何も無かったのだから。しかしそれでは国は守れなかった。
今、日本で幕末に鎖国政策を続けるべきだったと思っている人はどのくらいいるのだろう?歴史の結果を知っているから、幕府より薩長を応援する気持ちが強いのではなかろうか?それは明治維新は正しかったと学校教育とテレビ・ドラマによって洗脳されているから。
今、TPPに反対している人は幕末の庶民と学者と同じですね。解放して、なおかつ、どうすれば負けないか、どうすれば勝てるかを考えないといけないのです。それは歴史を勉強している人間と、そうでない人間の違いですね。国民は生活苦に陥っても明治維新は正しかったと思っている人が、当時生きていれば判断は逆だっただろう。
「若いときに、日米安保に反対したけど、今はそう思っていない」とか「あの時は、あれが正しいと思っていたけど、今はそう思わない・・」というのは庶民には許されるけど政治には許されないのです。今後五十年、百年の国民の安全と生活を守るために判断しないといけないのです。国民は自分の今の生活と将来の不安だけを考えて愚痴ってれば良いけど。
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