「海軍反省会400時間の記録」という本が出版されていることは知っている。NHKテレビで放映予定と本の帯に書かれていたのでこの本を買うけれどテレビを観てからにしようと判断した。「誰も認めない自称軍事評論家」の私にはNHKのテレビの内容は予め予想はしていたが辛い内容だった。本当にどうしてあうなったのかなぁ?と何十年と考えているけれど難しい。日本人は結果が生じた経過や原因を調べない癖がある。「運が悪かった」、「あの時はしょうがなかった」、「もう終わったことだから思い出したくない」などと原因を徹底的に調べないから同じ間違いを犯すことになる。かつて北朝鮮によってアメリカの調査船(スパイ船)プエブロ号が拿捕されたことがあるがその原因を徹底的に分析したアメリカ海軍調査の本を読んだことがある。その余りにも徹底した調査分析に感嘆した。その徹底ぶりがアメリカの凄さのひとつですね。「ハーバート・ビジネス・レビュー」というビジネス誌を30代の頃、何年間かしばらく読んでいたことがあるがその優れた論文はハーバードの論文テーマの選択とその調査方法によるところが大きいと分かった。知能の優秀さではなく調査手法の優秀さなんだと。調査手法が優れていれば誰でもそれなりに優れた論文が書ける。ハーバードはその手法が優れているということですね。狩猟民族と農耕民族の違いだと言ってしまえばそれで終わりだけど・・・国際競争社会の中ではそういう訳にはいかない。
先月、北海道で中高年トレッキンググループが遭難して8人が亡くなったがその後どういう状況でガイドがどのような判断をしたか、なぜそう判断したかというような徹底した調査をしていない。なんとなく原因が曖昧なままみんなの記憶から消えていっている。だから同じような事故や遭難が続くことになる。太平洋戦争の後の東京裁判は理不尽だと言う人もいるが、きっとその通りかも知れないが私は日本人が自ら戦争責任者を追及していないのが問題だと思っている。それぞれの作戦が妥当な作戦だったのかどうかを作戦立案者や作戦実行責任者の責任を日本人自ら追及していないのが東京裁判以上に問題なのです。「私は反対だったけど・・・」という自己正当化、責任逃れの言葉ばかりを当時の責任者から聞くことにいつも腹が立つ。「怒らず恐れず悲しまず」と天風教義は教えているけれど私は戦史を勉強していていつも怒りを覚える。
PR