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蟻の足音

蟻や小さな虫が歩く足音は5年目ぐらいに聞こえるようになったけれど、そんなのは大したレベルの話しではありません。当たり前の世界の話しです。
それは坐禅のレベルの話しで、「安定」(あんじょう)の段階には達していない。
蟻の足音が聞こえるようになると、その次に自分の呼吸の音、すなわち空気が肺に入ったり出たりする音が非常にうるさく聞こえるようになる。
その次に心臓というポンプが出す音がハッキリ聞こえてうるさく聞こえるようになる。これらは肉耳で聞こえるものです。肉耳の段階のものですね。
でもこの段階は、まだまだ「安定」の入り口の外ですね。そのレベルを凄い!と思っていては、「安定」の世界には入れない。
蟻の歩く足音(蟻とは限らないが同じレベルの音)が聞こえると、しばらくそれを聞いて、その聞こえる意識を放すと、音が消え無心(無念無想)になる。
「無心が取れたな」と思ったら次に耳を100m先、1km先を聞くように持って行くと、シーンとかジーンとかチリチリチリとか蝉が遠くで鳴く音のような、または鈴が鳴るような音が聞こえてくる。これは心耳で聞こえるもので、それが天の声ですね。
それが天の声だと言うことに疑問の声を上げる人もいるかも知れませんが、私も山田先生からそう教わりながらも疑問に思っていました。天風先生がそう言っていたと山田先生も言っていましたが、ヨガの聖者の本とか読んでいると、それが「天の声」だとやはり書いていた。それで納得しました。
(但し、耳元で聞こえるのは違います。)
で、「天の声が聞こえたら、意識して宇宙霊を呼び込む。そうすれば本心煥発になる。」と山田先生から教わりました。
この流れが基本ですね。この流れを如何に短い時間で出来るようになるかが安定打坐の修行ですね。こういう話しは天風会では教えてくれません。山田先生だけが天風先生直伝の話しとして教えていました。
こういう話しは日曜行修会のみんなの前では話せないのです。なぜなら、初心者向けの話しでは無いから。無心がそれなりに自在に取れるようになった人が次の段階へ進む時の話しですね。眉上げの話しもそうですね。
天風教義の基本は、「私にも出来る、出来る!分かる、分かる!」から始めるものですね。「そんな難しいこと、私には出来ない!」と感じさせないように段々と進化させていく方法だから、上に書いたようなことは初心者の多い日曜行修会では話せないのです。
これを読む人は幸せか、不幸せか分からないね。初心者の人は、「私はそんなの全然分からない」という迷いと自信喪失になるかも知れないから。
でも何でも方法とコツがあります。それをコツコツ積み重ねると誰でも出来るようになります。でもそういう方法論とコツを教えてくれる先生に出会わないと難しいという面はあるかも知れませんね。



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