先日ある超有名大企業の定年間近のとても優秀な研究者と電話で話していたら、「退職して自分が開発する製品を中国に作らせるのはどうですか?」と私に聞いてきた。
「はあ~?!」ですよね。で私は中国の様々な現実を説明した。
本人も中国からある高価な製品を買ったら使い物にならなかったと言っていた。それでさらに数倍の値段のするアメリカの製品を買い直したと。
NHKの朝7時のニュースを見て出勤し、朝日新聞か読売新聞かの1紙をパラッと目を通し、昼休みに会社にある日経新聞を読む生活だけをしていたら、如何に現実が見えていないかですね。でもそれが普通の日本人の生活と意識なんですよね。だからまだ中国に投資する人がいる。
今、如何に中国から撤退するかというセミナーが流行っているらしい。中国からの撤退は非常に難しい。「行きは良い良い、帰りは怖い」の典型ですから。
私に言わせれば、そんなこと最初から分かっていることだし、中国に進出するなら、「中国の歴史を勉強していけ!」と言いたい。但し、高校や大学の教科書は勉強の内に入らない。最低でも30冊ぐらいは古典を読んでいないと。
中国撤退セミナーの講師は今までは中国への進出アドバイザーとして金を稼いでいた。
私が金儲けのこと以外では読みがほぼ外れないのは、何十年と戦史を勉強してきたからですね。アメリカでは戦略学が大学の必須科目なんですよね。
民族気質というのは千年もそれ以上もなかなか変わらないので、戦争の戦い方はビジネスの戦い方と相似形なんですね。とにかく日本人は正直でお人好しで性善説を生きているので、ほんの一部のしたたかな策略の出来る人以外、戦争でもビジネスでも大陸内部に入っちゃダメ!大陸の海岸沿いまでですね。
この10年間ぐらいで、中国に進出したり、中国と仕事をした人は最初は、「これこれしかじかだから私は大丈夫。私の中国との仕事はうまくいく。」と言っていた人達はみんな最後は騙された。私は、「中国はこうこうしかじかだから注意した方が良いですよ」と最初からドバイスしていたのですが、その人達は誰も聞く耳を持たなかった。
でも人はみんな失敗して学んでいく訳だから命さえ取られなければ実態を経験したという成功が残っているのだから。
これからは、その命も危なくなるのだから。
日本人は大陸経験が少ないから今までのことは民族の体験の集積として、これからの日本人の知恵として残っていく。まあ、これからまだまだ失敗を積み重ねていくでしょうが。撤退は進出よりはるかに難しい。それは戦争もビジネスも同じですね。私は経験が無いですが、結婚より離婚の方がはるかに大変だというのとも相似形ですね。
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